人手不足が喫緊の課題の介護業界
2000年より登場した介護保険制度により、それまで国や市町村からの措置で行われていた介護サービスが、利用者自身が介護サービスを受けたい事業者と契約をし、自己決定によりサービスが受けられるようになりました。その後、住み慣れた地域で生活していくことを目標にした在宅介護サービスとして、訪問介護事業所やデイサービス、グループホームなど数多くの民間事業者が介護事業に参入してきました。
しかし近年の少子高齢化の影響と、今後、団塊の世代が後期高齢者へ向かっていく日本において、介護に関して慢性的な問題が生じています。それは介護に携わる介護職の人材不足の問題です。介護の仕事はトイレ介助、入浴介助、食事介助など肉体的にもきつく、また給与や福利厚生面においても、全産業別で比較したデータなどでは介護分野の給与基準は他の産業と比べると低くなっています。特に結婚などを考える20代後半から30代男性の離職率が高く、結婚しても家族を養えるだけの給与や福利厚生の充実といった待遇面の処遇改善を行うことが喫緊の課題となっています。
国も介護に携わる人材確保のために、介護報酬に処遇改善加算を組み込むなどして、介護職の人材不足解消に躍起になっていますが、その成果があがっているとは言えない現状があります。また仕事を続けていくうえでのキャリアモデルが明確になっていない側面もあり、職場の中でどのようにキャリアアップがなされるのかといったことを示していくことも必要です。